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聖ブラジオ司教殉教者 St. Blasius E. et M. のどの病気を癒す聖人 記念日 2月3日




 聖ブラジオはアルメニアのセバステに生まれた。医学を研究し近隣に名医として謳われたが、また高徳の聞こえも高く、とくに謙遜、貞潔、隣人愛、事に貧しき者への愛に勝れて、衆人の尊敬を集めていた。
 司祭になると間もなく、故郷の司教が死んだ。するとすべての司祭達も信者達も、彼が司教になることをこいねがった。それは彼がただ徳に秀でているばかりでなく、恐るべき迫害の行われていた当時において、教会を指導する最適任者であると信じたからである。

 その迫害の主はガリレオ皇帝であった。が、ブラジオが司教になった2年後、皇帝は重病に罹って命が危なくなった。こうなると死後が不安になるのであろう、彼は勅令を出して迫害を中止させた。
 間もなくコンスタンチノ大帝の親戚で東国を治めていたリチニオは、どちらかといえば悪人で、同様に奸悪なアグリコラウスという者をアルメニアの総督に任命した。すると、この男はリチニオの意を迎えるため、人民、分けてもキリスト教信者達を虐げ始めたのである。
 ブラジオはこの迫害の難を免れるため、ある山の洞窟に住むことにした。海抜4千メートルほどもあって年中殆ど雪に覆われているその山は、隠れ家として申し分ない。司教はそこからいろいろ信者達の為に力をつくした。
 同時に彼は厳しい苦行に身を懲らしもした。古い言い伝えによれば、野獣も聖人の前では怖じ畏れておとなしくなったとの事である。

 けれども彼の殉教は天主のお定めであったのであろう。紀元316年のある日、アグリコラウスは野獣狩りに勢子どもをその山に遣わした。彼らはその時はからずも洞窟の中に祈りを捧げている聖人を発見して大いに驚き、それを総督に告げ知らせた所、即刻引き連れて来いとの命令である。そこで勢子どもが又山へ来て見るとブラジオはまだ祈りに耽っていたので、「総督が貴方にお目にかかりたいと言っておられました」と言うと、聖人は直ちにその意味を悟り「よろしい、直ぐにこれから参りましょう、私は昨夜もう一切の成り行きを夢に見て知っています。皆さんは本当にありがたい吉報を持ってきてくださった。」と答えた。
 セバステまでの道は遠く険しかった。がブラジオは心を慰められる事が多かった。というのは行く先々へ数多くの信者が彼に逢いに集まって来たからである。
 母親達は我も我もと我が子の上に司教の祝福を願った。その祝福を受けて、全快した病人も数人あった。一例をあげればある婦人は大事な一人息子が喉に魚の骨を立てて窒息しそうになっていると、涙ながらに訴えるので、聖人がその子の喉に片手を当てて、十字架の印をするとたちまち治ったといわれている。

 ブラジオはセバステに着くやすぐさま総督の面前に引き出された。総督がわざと親しげに「神々の友なるブラジオ殿!」と声をかけると、司教は恐れ気もなく「私は神々の友ではありません。もしそうであれば永遠に地獄の火に焼かれるでしょう」と答えた。これを聞いた総督は真っ赤になって憤り、聖人をむち打って獄に投じた。しかしブラジオは毅然として一言も発せずにその苦痛を甘受したのである。
 翌日彼は再び総督の前に引き出された。総督は「神々を礼拝するか、それとも責め苦拷問を受けるか、二つに一つを選ぶがよい」と威嚇したが、聖司教は「閣下の仰せられる神々は木石や金鉄で造ったものであります。私はそういうものを拝むことは出来ません。それがお気に召さぬならば、どうぞ如何様にでも苦しめて私の命をお取り下さい。そうすれば私は永遠の生命を得ることができますから・・・・」と答えた。
 総督は怒って刑吏に命じ、彼を杭に縛り付け、鉄でその身体の肉をかき裂かせたが、聖人はよく耐え忍びつつ「こういう苦しみを私は長い間望んでおりました。今や天国は近づきました。地上のあらゆる物事は恐れるに足りません」と叫んだので、総督は負けたように感じ、彼を斬首の刑にせよと命令して、まず牢獄に帰した。
 その途中信者の婦人が7人彼を待ち受けていて、その傷口から流れる血潮を手ぬぐいに受け、めいめい己の額に塗ってブラジオの堅い信仰にあやかろうとした。もちろん彼らはその場で捕らえられ、法官の前に引かれたが、神々に犠牲を捧げる事を拒んだので、首を斬られて殉教した。
 ブラジオ自身はもう一度法廷に呼び出された。しかしあくまで信仰を守り通し「イエズス・キリストは私の主であります。主は身体を殺す者を恐れるなかれとおっしゃいました」と言って前述の殉教一婦人の二子と共に斬り殺された。

教訓

 聖ブラジオは本文の中に記した奇跡から、特に喉の病に対する代願の聖人として尊敬されている。ある国々ではその祝日に司祭の手を以てブラジオの祝福を与える所もある。その方法は司祭が二本のろうそくを十字に組んで病者の喉にあてがい、片手で祝福を与えつつ「願わくは聖ブラジオ司教殉教者の代願により、主が汝を喉その他の禍より救い給わん事を!聖父と聖子と聖霊との聖名によりて。アーメン」ととなえるのである。読者も試みにその取り次ぎを熱心に願ってみられるがよい。